内容は、講演した先生が取り組んでいる3つの研究プロジェクトの紹介で、そのうちのひとつは、認知症によって、紅茶を淹れるという作業がどんなふうに忘れられていくのかという研究でした。紅茶を例にしているところがイギリスらしいです。数年にわたって観察したところ、認知症の人には、紅茶を淹れるのにあまり重要ではない作業(例えば砂糖を加えること)から忘れていき、不可欠な作業(例えばお湯を沸かすこと)は最後まで覚えている傾向があることがわかったそうです。
また、ある被験者の映像を見たのですが、その人は紅茶を淹れたあと、砂糖を加えるところまでは完璧なのですが、最後にミルクを入れるという作業を忘れてしまっているため、砂糖を加えてかきまぜる作業を延々と繰り返していました。ただし、スプーンを正しく使ってかきまぜること、砂糖の容器のふたを閉めること・・など、ひとつひとつの作業はきちんと行われていました。問題はそれらをうまくつなげる記憶が欠けてしまったことでした。これは事故などで脳に障害を負った人たちの記憶の失われ方とは異なるようです。
公開セミナーだったせいか、説明がわかりやすく、専門用語を知らなくてもだいたい内容がわかりました。それに、全く違う分野の研究について聴くと、自分の研究についても、いったん距離をおいて、客観的に見られるような気もします。せっかくいろいろな分野の研究が行われている大学にいるので、また他のセミナーにも出てみたいと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿