彼の初期作品では、アパルトヘイトや脱植民地主義がテーマになっていて、彼の目から見た当時の社会の暗い雰囲気が出ていて、とても印象的でした。 『流浪のフェリックス』という作品では、フェリックスという白人男性が、黒人女性の目を通して世界を見ているのですが、路上で亡くなった人の上に新聞紙が何枚も重なって風化していく絵がくりかえし出てきて痛々しかったです。
ということで興味深かったのですが、2006年に行った六本木ヒルズ・森美術館のアフリカ・リミックス展でも思いましたが、もう少し作品の背景説明があったらよかったのになと思いました。たしかに純粋にアートとして見てもらうためには、説明は少ない方がよいのかもしれません。あるいは、詳しく知りたい人はギフトショップで売られている本を買ってください、ということなのかもしれませんが・・。
例えばケントリッジの展示では、彼がアパルトヘイトに対してどういう問題意識をもって作品を作ったのか、作品のどの部分にどういう現実が投影されているのか、そういった説明があったら、日本人でももう少し、当時の南アに住む人々の感覚を身近に感じることができるのではないかなと思いました。
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