2009年2月21日土曜日

官僚制に関する論文

今週は、中間試験と中間論文(ミッドターム・ペーパー)の提出締め切りがあって、しんどい週でした。試験は『民主主義と開発』のクラス、ペーパーは『公共管理と組織開発』のクラスの課題でした。

今回は、論文の執筆が遅れていたので、締め切り前の2日間、昼夜を無視した生活を送っていたのですが、こういうときは寝ていても、脳が勝手に論文の構成を考えていたりして、起きた時いやな感じがします。一度、論文が突然、筆記試験に変更になって慌てる、という夢を見ました。。なぜか日本の温泉宿にみんな集められて、試験が始まってしまい大慌て・・。起きた瞬間も慌てていて、急いでパソコンを開いて勉強しようとしたりして。そのときは、フラットメイトとご飯を食べて、一度落ち着いてから勉強に戻りましたが。

さて、その論文ですが、テーマはマックス・ウェーバーの「官僚制」の原則に沿っていない組織を選んで、その長所・短所を論ぜよというものでした。私は、日本の官僚の天下りを事例に、天下りがウェーバーの「官僚制」の官民分離の原則から外れているという点について書きました。

日本を事例に、英語で論文を書いたのはたぶん初めてだったと思います。日本人なら誰でも知っているような内容になりましたが、今回、自分の国について書くのはなんて自然なんだろうと思いました。日本語の文献を取り入れて、独自性を出すこともできますし。

それに、日本の政治に関する英語の論文や本を読むのは意外と面白いです!これまで、日本の政治は勉強の対象とは思っていませんでしたが、これからアフリカに加えて、日本についても見ていきたいと思います。

そういえば、天下りについて書かれた論文記事に、突然、サムライ精神みたいな言葉が出てきて、えっと思った箇所がありました。ちょっと見てみます・・、あ、ありました。

「サムライ的な倫理観や省庁への忠誠心が、元官僚が単なる資本主義の道具になるのを防ぐのだろう。('The samurai ethic and loyalty to the grands corps are likely to prevent ex-bureaucrats from becoming simple capitalist tools.')」

天下りによる官から民への人の動きによって、国家が市場に吸収されてしまう可能性はないのかという、いかにも学術的な問いに対する説明の一部なのですが、サムライ的な倫理観があるから、と書かれるとは・・。海外の研究者にとっては、日本はやっぱり、サムライ、ハラキリ・・の国なのかなぁ。

写真は今月初旬に雪が降った時に撮ったものです。

(出典:Schneider, B. (1993) 'The Career Connection: Comparative Analysis of Bureaucratic Preferences and Insulation', Comparative Politics 25.3: 331-350)

2009年2月8日日曜日

極度乾燥

寮から歩いて5分くらいのチャーチル・スクエア(Churchill Square)に、「Cult」という洋服のお店があります。きれいな淡い紫色のパーカが窓越しに見えたので、お店に入ったら、前から気になっていた「極度乾燥(しなさい)」のお店でした!

「極度乾燥(しなさい)」というのは、ときどきこちらの人が持っているスポーツバッグに書いてあって、変な日本語・・と思っていたのです。因みに、このお店に入ってわかったのですが、「Superdry極度乾燥(しなさい)」というブランドのようです。日本語を知らない人が辞書を引いて、適当な漢字をあてたみたいですよね。 あれ?しかもビール・・?

店内にはカジュアルな服が並んでいて、他にも「優れた配分」、「堅い天候の会社」、「オルスタ」など、おかしな日本語がプリントされていました。しかも、背中のタグに「Made in Tokyo」、「University of Tokyo」などと書かれていたりします。クール・ジャパンの影響はすごいですねぇ。

かわいいデザインと、いい加減な日本語の組み合わせが面白かったので、1枚Tシャツを買いました。右上の写真をクリックすると、写真が拡大するので、そちらをご覧ください。トラの絵柄の下に、「極度の自動車」と書かれています。。

2009年2月2日月曜日

昨夜からイギリス東南部では雪が降り、今日は大学がお休みになりました。

今日は『公共管理と組織開発』の授業があり、私はグループの発表もあったので、少し早めに寮を出ようとしたら、同じ寮の人に「バスも電車も動いてないよ」と教えてもらい、携帯電話を見たら、クラスメイトから「今日は休講」というメッセージが来ていました。とっさに、いぇい!と思ったのは、子どの頃、雪で学校が休みになるかな、と思ってわくわくした時の名残でしょうか。

ちょうどフラットメイトのAも寮を出るところだったので、今日は大学がお休みだと伝えて、2人で寮の前の海辺に写真を撮りに行ってきました。雪の積もるビーチは初めて見ましたが、いつもと違った雰囲気できれいでした。

いくつも雪だるまができていて、特に、左の写真の子どもがかじりついている雪だるまは大きく、小さな埠頭の先に立っていたので、写真を撮るために人の列ができて、ちょっとした観光スポットのようでした(私たちもこの雪だるまと並んで写真を撮ってきました)。

寮の職員によると、波や海風があり、海辺にこんなに雪が積もるのは珍しいようです。部屋からの真っ白な雪と海の眺めもいいものなので、しばらくこのままだったらいいな。

2009年2月1日日曜日

ミュージカル

少し前になりますが、フラットメイトのAとSと、ロイヤル・パビリオンの隣にあるシアター・ロイヤル(Theatre Royal)に、ミュージカル「キャバレー(Cabaret)」を見に行きました。シアター・ロイヤルは200年の歴史があるそうで、劇場は古くて味のある造りでした。

「キャバレー」は映画にもなっていて、日本では2007年にミュージカルが上演されたようですが、私は今回初めて見ました。ブロードウェイ・ミュージカルの「シカゴ(Chicago)」にもちょっと似ていますが、「キャバレー」は1931年のベルリンが舞台で、ナチス・ドイツが取り上げられているので、より深くて悲しい内容です。

ストーリーはシンプルで、アメリカ人小説家とイギリス人のキャバレー歌手のロマンスと、その2人が住む宿の女主人と果物屋さんのロマンスの2本柱です。果物屋のおじさんは果物をあげながら、女主人にアプローチしていくのですが、パイナップルで女主人にプロポーズするシーンがあって、確か果物屋さんが「あなたの部屋をパイナップルでいっぱいにしてあげる」と言い、女主人がそれに感動して、2人でひとつのパイナップルを持ちながら歌い始める・・といった感じだったと思いますが、微笑ましくて思わず笑ってしまいました。

ですが、果物屋さんはユダヤ人で、後半はナチスのユダヤ人迫害が出てくるので、悲しい展開になります。前半の派手でセクシーな音楽・ダンスと、後半の重い展開の対比が鮮やかでした。それから最初は気づかなかったのですが、舞台のセットや衣装などから、ベルリンの前衛的な雰囲気が出ていました。昔、列車で東ドイツを通ってベルリンまで旅したときに感じた独特の暗さなどを思い出したりして、上手な演出だなぁと思いました。こういう大人向けのミュージカルもいいものですね。