2013年4月6日土曜日

貧しいけれど幸せ?

ブライトンは4月に入ってからも、くもりと雨と雪の寒い日が続いています。白い魔女に統治されて何百年も冬の時代の続いたナルニア国みたいだと思って、まわりの人たちに「イギリスにはもう春は来ないんだと思う」と言っています。今日は久しぶりに晴れているので、少し春が近づいているような気もしますが。

さて、世銀のブログに「貧しいけれど幸せ?(Poor but happy?)」という記事が掲載されているので、ご紹介します。途上国の人たちは貧しいけれど、実は先進国の人たちより幸せなのではないか?という時々出てくる問いについての記事です。例えばブータンは幸福度が高い国として知られていますが、サハラ以南アフリカの国々はどうでしょうか。

この記事の図表2(Figure 2)によると、アフリカの国の間にもばらつきがあるようです。この図では、縦の軸が幸せの度合い、横の軸は貧しさの度合いを示しています。左上にあるのが貧しい人が少なくて、幸福度の高い国々。右下にあるのが、貧しい人が多くて、幸福度の低い国々。平均すると、若干、貧しさと幸せには負の相関関係(裕福な方が幸せ)がありますが、これに当てはまらない国もたくさんあります。例えばマラウィは貧しい人が多いけれど、アフリカで一番幸せな国です。逆にカメルーンは貧しい人が少ないのに、幸せの度合いは低いです。

マラウィと言えば、昨日IDSで英国国際開発省(DFID)のガバナンス・アドバイザーによる講演がありましたが、その際にイギリスの援助と外交政策の関連性の話になって、援助が外交戦略と直接関係している国の事例としてパキスタン、その逆の事例としてマラウィが挙げられました。

DFIDは3年前に援助のレビューを行い、重点支援国を28か国に絞りましたが、その中にもアフガニスタンやパキスタンのように対テロリズムなどの外交や経済的な国益と結びついている国々と、マラウィなど、外交・経済的な利益よりも、貧困削減の成果を出すことを目的にしている国々があります(もちろん広くとらえれば、貧困削減も外交目的に入りますが)。

また、同アドバイザーが、DFIDは援助の効果を向上させるために、援助の評価に被援助国の一般の人たちの意見を取り入れるようになってきたとも言っていました。それを思い出して、もともと貧しくても幸福度が高い国だったら、人々は援助の効果についてもポジティブなんじゃないかな、だからマラウィも重点国にしたのかなぁと勘ぐって、他のアフリカの重点国17カ国も見てみたところ、確かに幸福度が高めの国が多いですが、必ずしもそうでもありません。むしろ単純に英語圏アフリカの多くの国が、イギリスの重点支援国になっているという気もします。

重点国の中で特に幸福度が低い国があります。タンザニアです。タンザニアは貧しい人が多くて、幸福度がとても低いです。マラウィとタンザニアは隣接していて、貧しいという点では共通しているのに、幸せの度合いが大きく違うので、興味深いです。

3 件のコメント:

Sonoco さんのコメント...

ごぶさたです!
タンザニアは貧しくて幸福度が低いのはなぜなのでしょう?タンザニアで実際暮らして感じたことをぜひうかがいたいです!
興味深い記事でした。
オシゴトって効率よくすればするほど時間がなくなるって感じます。これって経済自由度と幸福度の関係に少し似てるかしら!?
突然失礼しました!

Machiko さんのコメント...

Sonoco、久しぶり~。コメントどうもありがとう。Sonocoのブログ見てるよ~。タンザニアが他のアフリカの国に比べて、貧しくて幸福度が低い理由、私もわからないのです。タンザニア人は文句を言うのが得意というか文化の一部になっていると思うので、それが出たのかな。でも一方で信仰心が強くて、貧しくても忍耐強い面もあると思うだけど。私も最近、忙しいという漢字の「心が亡くなる」というのはあたってるなぁと改めて思ったところだよ。お互い引き続きマイペースでいきましょう!

Sonoco さんのコメント...

なるほど。タンザニア人の国民性って少し日本人に似てる?と感じたのは私だけかしら。痛みと一緒で幸せって人には伝えられない尺度のものだから、比較するなんてムリ~!かもしれないですね。
それにしても、遠い国タンザニアのことを少しでも知ることができてMachikoさんに感謝です。
論文作成にあたり、お体ご自愛くださいませ!