2010年3月24日水曜日

つづり

今週から春休みに入ったので、IDSは修士課程の学生がいなくて静かです。さて、先日あるレポートの参考文献リストを作っていて、あららと思ったことがありました。

ご存知のように、アメリカとイギリスでは発音が同じでも、つづりが少し違う単語があります。例えば「組織」という単語は、アメリカ英語では「organization」ですが、イギリス英語では「organisation」と、「z」ではなくて「s」を用います。私はアメリカの大学院で学んでいた頃まではアメリカ英語のつづりを書いていましたが、そのあとの勤務先、タンザニア、それから今もイギリス英語なので、すっかりイギリス式のつづりに馴染んでいて、パソコンでタイプするときは無意識のうちにイギリス英語を使っています。

先日、作り終えた参考文献リストを見直していたら、アメリカのノーベル経済学者のジョセフ・スティグリッツ教授の名前のつづりが「Stiglits」になっていることに気づきました。正しくは「Stiglitz」です。知らぬ間に、「z」をアメリカ英語と認識して、イギリス英語の「s」に変換してタイプしてしまったようです。スティグリッツがイギリス人に・・!英語の名前をタイプする際にはご注意を(ってこんな間違いをするのは私だけですかね)。

2010年3月13日土曜日

世界と日本

学生生活を送っていると考える時間がたくさんあるので、いろいろな概念や言い回しを思いつきます。しばらく1つの概念がくり返し出てきて、そのうち消えていくことが多いので、書き留めておかないと忘れてしまいます。

1月にイギリスに来てからしばらくの間、私の中で流行っていたのは、「日本は世界の一部であり、世界は日本の一部である」というフレーズでした。しばらく日本で過ごして、またイギリスに戻ってきたので、日本にいる自分と海外にいる自分がどうつながっているのかという説明が必要だったのかもしれません。ある意味、私なりのカルチャーショックへの対応とも言えます。

さて、日本が世界の一部であるのは当然ですが、世界が日本の一部であるというイメージは私にとって新しいものでした。そう考えるようになったのは、帰国中に読んだ『日本語が亡びるとき-英語の世紀の中で』や、エドワード・W・サイードの『知識人とは何か』といった本からの影響もあります。

「世界は日本の一部である」の例としては・・、私は以前、外国の事象について書かれた英語の専門書を日本語に翻訳する意義はあまりないんじゃないかなと思っていました。もちろん日本語の方が読みやすいので、訳書があればそれに越したことはないのですが、専門書を訳しても、研究者や大学生など一部の人たちしか読まないだろうし、その人たちは研究に必要なのであれば、勉強して原書でも読めるようになるだろうし。翻訳にかかる手間を考えると、費用対効果が果たしてあるのか・・。それに、そもそも翻訳によって変わってしまうもの、失われてしまうものがあるので、むしろ読者は苦労してでも英語のまま読んだ方がよいのではないかと。

でも、今回イギリスに来てから考えたのは、外国や社会で起こっていることの記録や分析のなかには、日本と直接関係なくても、日本の知識や知見の一部となるべきものもあるのではないかということです。日本の知見は、日本語という言語によって積み重ねられているので、翻訳は「日本の知の蓄積」に貢献すること。原書よりも訳書の方がはっきりとその蓄積の一部となる。だから、日本の知見となるべきと考えられる専門書は、仮に読む人が少なくても、日本語に訳す意義があるのではないかと思ったのです。

世界も日本も同じ時間の流れを共有しているということ。そして、どこかの国の人々が経験したことは、日本人がたまたま経験しなかったけれど、もしかしたら経験していたかもしれない、もうひとつの時間の流れ、あるいはもうひとつの歴史の可能性であるということ。

最近はほとんど思い出さないのですが、今振り返ってみると、「世界は日本の一部である」とイメージすることで、日本人の自分が、外国に身をおく意味を見出そうとしていたのかもしれないですね。外国で経験したことを、最後には日本に持って帰りたい願望・・というか。

2010年3月7日日曜日

デビルズ・ダイク

今日は同じ家に住んでいるDのお誕生日だったので、みんなでデビルズ・ダイク(Devil’s Dyke)に行ってきました。デビルズ・ダイクはブライトンの中心からバスで30分くらい北上したところにある丘陵です。「悪魔の堤防」という意味なので、岩がゴツゴツしているところを想像していたのですが、実際には緑の丘陵でした。高台になっているので、バスから遠くのブライトンの街や海が一望できて綺麗でした。

デビルズ・ダイクではウォーキングなどもできますが、寒かったこともあり、パブに直行して、ご飯を食べてきました。パブと言っても居酒屋ではなく、田舎にあるカントリー・パブは伝統的なレストランという感じです。私はフィッシュ・パイを食べました。パイという名前ですが、一言で言うと魚の入っているポテト・グラタンです。カントリー・パブでフィッシュ・パイを食べるのは2回めですが、2回とも茹でたベビーキャロットとブロッコリーが付け合せでした。ニンジンとブロッコリーという組み合わせも定番なのかな。

最後にアップル・クランブルというイギリスのデザートも食べて、お腹いっぱいになったので、帰りはブライトンの街中から家まで歩いて帰ってきました。デビルズ・ダイクはセブン・シスターズの白い岸壁のような見所があるわけではありませんが、よい気分転換になりました。暖かくなったら、またピクニックで行きたいです。

写真を撮るのを忘れたので、セブン・シスターズの羊の写真を載せました。この羊、美脚ですね。そういえばデビルズ・ダイクには羊はいませんでした。