2013年2月3日日曜日

緊縮財政に反対する女性たち

昨日、ブライトンで行われた'Voices against the Cuts: Women and Austerity'(予算削減に反対する声:女性と緊縮財政)というイベントに参加してきました。イギリスでは、政府が様々な福祉関連予算を削ってきているのですが、その影響を特に受けているのは女性や障害者などであるとのことで、ブライトンと隣町のホーブの女性たちが、Brighton and Hove Women against the Cuts(ブライトンとホーブの政府予算削減に反対する女性たち)というキャンペーンを行っていて、その一環で開かれたイベントです。
 
以前ブログに書いたブライトンから選出された緑の党(Green Party)の国会議員、キャロライン・ルーカス議員がスピーチをするとのことで、私はそれが聞きたくて、このイベントに行ってきました。ルーカス議員のスピーチは一番最後だったので、他の講演者のスピーチ、グループに分かれてのワークショップも含め、計4時間すべて参加しましたが、予算削減の低所得層の人たちへの影響や、女性たちによる地元のキャンペーンの様子が少しわかって勉強になりました。
 
ルーカス議員のスピーチは、さすがに国会議員だけあって、政府を徹底的に批判し、聴衆の心をつかむ良いスピーチでした。ルーカス議員からすると、政府に反対している女性たちは一番話しやすい、支持を得やすいグループだと思いますが、心をこめて真剣に取り組んでいる姿勢が伝わってきました。今後、ルーカス議員の他の活動についても見てみたいと思っています。

2013年1月17日木曜日

アフリカでの調査に関する本

2013年になりました。年末年始はいかがでしたか。私はクリスマスはブライトンで友人たちと過ごし、元日から先週土曜までインドに行ってきました。クリスマスもインド旅行も、勉強から離れてリフレッシュできました。今年は博士論文仕上げの年なので、引き続きがんばります。

インドについては近々書くことにして、休暇中に読んだ本をご紹介します。Susan Thomsonらが編集した『Emotional and Ethical Challenges for Field Research in Africa: The Story Behind the Findings(仮訳:アフリカでの現地調査における感情面と倫理面での課題:研究成果の裏にあるストーリー)』という昨年出版された本です。

コンゴ民主共和国、ルワンダ、ブルンジ、北部ウガンダで、紛争や虐殺に関する調査を行った著者たちが、現地で直面したさまざまな問題について率直に書いています。調査内容が政治的にセンシティブであったり、危険と隣り合わせであることから常に緊張感があったり、どこまで踏み込んでいくかという問題が出てきたりします。著書のひとりは、現地政府から調査を監視され、インタビューした囚人たちのリストを提出するように言われますが、インタビュー相手に約束した守秘義務(confidentiality)を重んじて提出しなかったために、調査許可を無効にされていまいます。

また、紛争や虐殺の影響を受けている人たちから話を聞くため、さまざまな倫理的なジレンマに陥ります。たとえば、ルワンダで調査を行ったリサーチャーは、調査ノートに「時々、ここで自分が何をしているのかわからなくなる」と書いています。自分のキャリアのために、現地の人たちから情報を聞き出すことに疑問を感じ、自分が人の苦しみや悲しみの一覧表を作るだけの災害観光客(disaster tourist)になったような気がする、と。でも、このリサーチャーも他の著者も苦悩しながら、それぞれの課題に対処していく様子も書かれています。

私が自分の経験にも照らして、特に興味深いと思ったのは、インタビュー相手の嘘について書かれた第10章です。ブルンジで調査をおこなった著者は、嘘をつかれたということは相手の信頼を得られなかった証だから、調査がうまくいかなかったともとれるが、むしろ、なぜ相手が嘘をついたのかという理由を探して推察することで、現地の人々の置かれた状況がよりよく理解できると述べています。

タンザニアは紛争国ではありませんが、私の場合インタビュー相手が政治家だったこともあり、話が誇張されることがありました(政治家でなくても誰でも相手によって話を変えるということはありますが)。政治家と一緒に行動していて、彼らが相手と状況によって、どのくらい話を変えるか少しずつ見えてくるようになりました。インタビューで聞いた話のうち、どの部分をどのくらい引き算してとらえるかは、フォーマルなインタビューを1回行うだけではなかなかわかりません。フォーマルとインフォーマルの組み合わせと、場数が大事になってくるのだと思います。

2012年12月14日金曜日

スワヒリ語

今年3月にブライトンに戻ってきてからも、タンザニア人留学生と週一回スワヒリ語のマンツーマンレッスンを続けていました。その先生が9月に修士課程を終えてタンザニアに戻った後、別の先生がすぐに見つからず、研究発表が近づいて忙しくなったので、3か月くらいスワヒリ語をほとんど話さずに過ごしました。発表が終わった後、知り合いのタンザニア人の博士課程の学生Rが12月中旬までブライトンにいるということで、お願いして、先週と今週2回会うことができました。

2回目のクラスでは、事前にスワヒリ語の新聞記事がメールで送られてきて、記事が私の研究にどう関係しているか話してもらうので準備してください、という宿題が出ました。Rは私の先日の研究発表にも来てくれたので、私の研究テーマを知っていて、それに関連する記事を選んでくれたので、まさにぴったりの課題でした。

最初に記事の概要を話して、自分の研究に関連付けながら記事の感想を述べて、新しい単語を使って例文を作って・・・という流れでした。最後に習ったことをおさらいするために記事の概要をもう一度説明して、と言われた時には、難しくてできないと駄々をこねましたが、Rに励まされて何とかこなしました。

Rはまもなく調査のためにタンザニアに行くので、また別の友人にスワヒリ語クラスをお願いする予定です。スワヒリ語は研究のために必要というだけではなく、私の一部になっていて、タンザニア人とスワヒリ語で話すと何だかほっとします。ということで、これからも細々とでも続けていきたいと思います。

2012年12月10日月曜日

発表

先週月曜、私の所属する開発学研究所(IDS)で研究発表をしました。IDSの博士課程では、2回発表を行うことになっていて、1回目が1年目に行う研究概要の発表(Research Outline Seminar: ROS)、2回目が研究の進捗状況の発表(Work-in-Progress Seminar: WIP)で、WIPは基本的に3年目の終わりまでに行わなければいけません。私は今月で3年目が終わるので、4年目に移行する前にこの発表をしました。

今回も2年前のROSと同じように、ガバナンス・チームの先生方が来てくださって、博士課程の友人たちも来てくれて、いろいろなコメントをもらって、有意義な時間になりました。その日の夜にガバナンスの修士課程の学生の歓迎会があって、私も参加したのですが、そこでも先生方とおしゃべりしながら、さらにコメントをもらいました。研究テーマを面白いと言ってくれて、一緒に考えてくれること(私の中ではengageという英語がぴったりなのですが)は本当に嬉しいことです。

発表後に自分の机に戻ったら、おめでとうのメッセージとクロワッサンが置いてありました。私が発表用の論文の仕上げで煮詰まって、息抜きにキャンパス内のスーパーに行ったとき、一緒に来てくれた友達がいて、そのときに私が「たまに食べると元気が出るんだよね」と言ってクロワッサンを買ったのを覚えていて、カフェのクロワッサン(スーパーのではなく)を買ってきてくれたのでした。WIP後のごほうび、おいしくいただきました。

WIPが終わって一息つきましたが、締め切りのある課題があと2つ。クリスマスと年末が近づいてきて、のんびりしたいところですが・・、あと少しがんばろう!

2012年11月11日日曜日

プルーフリーディング

留学生の間で「誰かいいプルーフリーダー知らない?」という質問が出てくることがあります。プルーフリーディング(proofreading)は文章の校正のことで、英語の論文を書いたときに、文法や綴りの間違いがないかチェックをしてもらうことです。

私は最近はブライトンに住んでいるエディターのDavid Butcherさんに見てもらっています。メールの返信が早く、約束した締め切りを守ってくれて、細かいところも見逃さず、より適切な表現を提案してもらえるので勉強になります。以前はロンドンの大学院生に見てもらっていて、その人もとても良かったのですが、Davidはさらにチェックが細かくて、プロフェッショナルな感じです。

毎回真っ赤になって返ってきますが、修正点をそのまま採用するのではなく、ひとつひとつ確認していきます。なかにはノンネイティブなりにこだわって選んだ言葉や、政治学ならではの表現などもあるので、自分でgoogleを使ったり文献を見たりして調べて、元の言葉に直すことも多々あります。覚えておいた方がいい文法の間違いは、単語帳(気が向いたときに知らない単語や論文で良く使われる単語などをエクセルにまとめています)に書いておきます。普段、英語の間違いを指摘してもらう機会がほとんどないので、プルーフリーディングは英語を学べる良い機会です。

2012年11月3日土曜日

フェイスフルフレンズ

昨日、大学のダンスサークルで一緒だった友達Sonocoとロンドンでディナーをしました。Sonocoは横浜の日吉でドッグホテル・トリミングサロン、フェイスフルフレンズ(faithful friendsを営んでいます。

以前から、11月にロンドンに研修のために行くと聞いていて(Sonocoはロンドンのトリミングサロンに勤めていたことがあるのです)、ブログも読んでいて、会うのを楽しみにしていました。ホテルの話を聞いたり、写真を見せてもらったり、友達や家族の話などをして、Sonocoの考え方に共感するところがたくさんあって、元気をもらいました。今朝、一緒に住んでいるGに、昨日は友達に会えてほんとによかったよ、と話したら、自分のルーツがわかるでしょ?と言われて、そうそうルーツだと思いました。しばらく会わない時期があったとしても、こうしてまた会って、過去と今までをつなげて分かち合える友達がいるのって本当にありがたいなぁと思います。
 
ちなみに、大学のサークルで踊っていた頃、Sonocoが作った曲に出たのですが、飛び込み前転の振りつけがあって、たくさん練習させられました(笑)。ステージの上ででんぐり返しをするなんて、今の私にはとても無理なのですが。でんぐり返しはともかくあの曲は踊っていて気持ちよかったなぁ。Sonocoが曲を作っていた頃の話も出てきて、思い出しました。

犬を飼っている方は、よかったらぜひフェイスフルフレンズに行ってみてください。私も次回帰国するときはぜひ訪問したいです。ウェブサイトを見ていただくとわかると思いますが、ホテルの雰囲気がよくて、Sonocoが犬と飼い主さんに心をこめて接しています。私も泊まりたいくらいですが、人は泊まれないらしいです(一応、聞いてみました・・)。

2012年10月17日水曜日

トライアングル

ここ数年、日本とイギリスとタンザニアの間を行ったり来たりする生活を送ってきました。東京に家族がいて、ブライトンとダルエスサラームでも下宿やホームステイをして、そこに住む人たちと家族のように一緒に生活をしてきたので、それぞれの土地に馴染むことになりました。このことはとても有難いことなのですが、馴染んだ分だけ、移動先の生活(気候、言語、文化、価値観など)に慣れるのに時間がかかりました。移動する前にいた場所の自分を維持したい、新しい場所に慣れたくないという無意識の抵抗もあったのだと思います。

移動した先に慣れるまでのふわふわとした時期を、私の指導教官は、文化的な時差ぼけ(cultural jet lag)と呼んでいました。昨年4月にタンザニアでの1回目の現地調査を終えてブライトンに帰ってきた時の文化的な時差ぼけは長く深くて、自分がどこに属しているのかわからない感覚がしばらく続きました。早くタンザニアに帰りたいといつも思っていました。その後、日本に一時帰国した際にもまた文化的な時差ぼけを感じました。

2か所・2言語の間でバランスととるより、3か所・3言語の間でバランスをとる方が難しいのです。誰かと話をするときに3分の1の自分しか見せていないような気がしたり、今自分がいない2つの国の自分が失われていくような気がしたり。そんなことを経験しながら、昨年の夏、3つの国を行ったり来たりしながら、その上でバランスを取っている自分自身の在り方に、トライアングル・アイデンティティと名前を付けました。移動するたびに文化的な時差ぼけを感じながら、3つの場所で、違う言語で話して、それなりに根を下ろして暮らしつつ、どこにも完全に入りきることは(でき)ないとひらきなおったのです。その後は、自分がその時にいる場所や会う人たちとどこか違う、ずれていると感じても、まぁ私はトライアングルだから仕方がないと思うようになりました。
 
ちなみに、今年3月にタンザニアでの2回目の調査を終えてブライトンに帰ってきて、その翌月に日本に一時帰国したときは、それほど文化的な時差ぼけは感じませんでした。ひらきなおりの効果もあり?、2度目の3か国間の移動なので慣れてきたようです。トライアングルもだんだん落ち着いてくるのかもしれません。そして、ブライトンでは私の周りは外国人が多くて、完全なイギリス人だけの環境というわけではないので、比較的バランスがとりやすく居心地がいいのだと思います。